理工系人材の地位に関するQ&A
                                                                                                                                        Since November 26, 2006
                                                                                                                                     最終更新  December 2, 2006


理工系人材の地位向上に関する疑問点についてのQ&Aです。

Q1.理工系人材の地位は本当に低いのですか?

A1.個々の人々を見れば、非常に恵まれている方もおられます。ただ、全体としてみれば、技術立国・知的財産立国の下で、日本を支えていかなければならないのに、それにふさわしいだけの待遇が得られているとは到底いえない状況です。また、人類への貢献度に応じて、極めて優秀な技術者・研究者の人々が処遇されているとは、到底思えません。

Q2. 技術者・研究者をサポートする弁理士や企業の特許部・知的財産部の人々等の地位の向上も必要なのですか?

A2.発明を生み出すことはもちろんですが、発明を育て、守っていくことが理工系人材の地位向上には重要です。これらの人々の多くは理工系出身であり、一度は研究活動に従事したり、企業に勤めるなどの経験を持っています。そして、身をもって技術者・研究者の不遇を体験してくやしい思いをしたことがある者も多いのです。そのような思いを、現在でも怒りに震えながら語る人も少なくありません。また、かつての同僚が技術者・研究者として、どのようなひどい目にあったのかを伝え聞くことも多いのです。これらの人材が良い特許明細書を作成するなどの地道な活動により、技術者・研究者の発明を育て、守ることが、技術者・研究者の地位を向上させるのです。しかし、これらの人々も、社会の中では弱い存在であり、十分に技術者・研究者を保護できるだけの力を持っていません。技術者・研究者の地位向上のためには、技術者・研究者の価値向上を保護する人材の地位向上も必要なのです。

また、現在、本来発明者の生んだ発明を育て上げる高度な専門職であるはずの弁理士が、代書屋として安価に用いられる傾向が強くなるという危機的状況があるのです。これにより、弁理士が、本来のプロフェッショナルとして、理工系人材を十分に守れない状況が生じているのです。その結果、技術者・研究者の方の発明の保護が弱くなり、技術者・研究者の地位を押し下げているのです。このことの社会にもたらす深刻な悪影響は、決して過小評価することができないのです。

Q3.特許が技術者・研究者の地位向上に役立つということですが、これは発明をする技術者・研究者だけに言えることではないでしょうか。私は、発明など一件もしたことがないので、私の地位の向上には関係ないのではないでしょうか?

A3.まず、今まで一件も発明をしたことがなくても、今後発明をすることがないとは言えません。発明の種は色々なところにあります。また、発明はしないけれども非常に重要な仕事をしている技術者・研究者の方が存在します。そのような人々の地位も、発明をする技術者・研究者の地位が上がることによって上がります。技術部門が会社にとって莫大な利益を生む部門となれば、その発言力や予算が増大するからです。また、技術者・研究者の待遇が発明により高まれば、多くの優秀な若者が理工系、理科系、理系を目指すようになり、理工系人材、理科系人材、理系人材の地位が全体として向上するのです。

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